骨盤帯の痛み
骨盤は、普段の姿勢や立ち方等の癖、妊娠出産、ホルモンバランスなどの影響を受けやすく、妊娠初期は、腰椎椎間板ヘルニア等の妊娠前からの疾患に伴う腰背部痛の悪化が多いとされています。妊娠後期に近づくにつれて胎児の成長、骨盤の形態・姿勢の変化、体重増加に伴う骨盤帯痛の頻度が増加します。また、産後は出産時の骨盤開大による損傷痛、骨盤の不安定性が残存していることによる症状が続く場合と、育児による姿勢が原因となる場合もあります。
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骨盤とは
骨盤は左右に張り出す大きな「腸骨」と中心にある三角形の「仙骨」、前側の下にある「恥骨」、一番下にある「坐骨」で構成され、体の土台として上半身を支えるほか、体の中で一番大きな関節である足の付け根の「股関節」が付いている部位でもあり歩行時には脚からの衝撃を吸収します。骨盤の内部には腸や泌尿器などの内臓や子宮や卵巣と言った生殖器がありこれらを保護する重要な役割を果たしている部位でもあります。骨盤は輪のような形をしており、これら全体を総称して骨盤帯pelvic girdleと呼びます。
この骨盤帯の中には後ろ側に仙骨と腸骨の間の「仙腸関節」そして、前側には二つの恥骨がつながる「恥骨結合」があります。これらは女性では女性ホルモンの働きで柔らかく保たれ、出産時には更に柔らかく開いて赤ちゃんが通れるようにします。 -
骨盤帯の痛みの原因
多くの機能を果たす骨盤は、普段の姿勢や立ち方や座り方の癖、妊娠出産、ホルモンバランスなどの影響を受けやすく、その結果取り囲む筋肉のアンバランスや仙腸関節や恥骨結合の不安定性を生じ、日常生活での不快感や痛み、姿勢が保てない、尿漏れ、あるいは体型の崩れなど様々なトラブルにつながっていきます。年齢、妊娠や出産経験の有無に関わらず、女性の腰からお尻の痛みで生じているのが実はこの骨盤帯のトラブルであることが多いのです。
言い換えれば、骨盤帯はすべての女性が生涯にわたり健康に過ごすために、良い状態に保つべきとても大切な場所でもあるといえるでしょう。