へバーデン結節
指の第1関節(DIP関節)が変形し曲がってしまう原因不明の疾患です。第1関節の背側の中央の伸筋腱付着部を挟んで2つのコブ(結節)ができるのが特徴です。この疾患の報告者へバーデン結節の名にちなんでヘバーデン結節と呼ばれています。いろいろな程度の変形があります。すべての人が強い変形になるとは限りません。
注:ここでは、一般的な呼び名としてDIP関節(遠位指節間関節)を第1関節と呼んでいます。

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へバーデン結節のメカニズム
へバーデン結節は、指の第一関節(DIP関節)の軟骨が摩耗することで、関節の変形、腫れ、屈曲などを起こす病気です。すべての指について起こり得ます。「※ブシャール結節」と同様、指の変形性関節症に分類されます。
痛みを伴い、指の曲げ伸ばしが難しくなります。ときに、水ぶくれのようなふくらみを持つ粘液嚢腫(ミューカスシスト)が第一関節付近に生じます。
※ブシャール結節とは、指の第二関節(PIP関節)の軟骨が摩耗することで、関節の変形、腫れ、屈曲などが起こる病気です。 -
へバーデン結節の症状
- 指の第一関節の腫れや出っ張り
- 痛み(特に使った後や朝のこわばり)
- 関節が赤くなったり熱を持つことも
- 指先の動きが鈍くなる/曲げにくくなる
- 関節の変形(左右に曲がる・骨が盛り上がる)
初期には痛みや違和感だけのこともあり、「年のせいかな」と放置されやすいのが特徴です。
しかし、早期に対応すれば進行を抑えたり、痛みを軽減することも可能です。 -
へバーデン結節になりやすい人・原因
1.40代後半〜60代の女性(更年期以降が多い)
更年期前後の女性ホルモン(エストロゲン)の低下が、関節軟骨の変性や関節の炎症に影響を与えると考えられています。遺伝的な要素も関係しており、母親がへバーデン結節を持っている場合、発症リスクが高まる傾向があります。
2.家族に同じ症状がある方(遺伝的な傾向あり)
へバーデン結節は家族内で発症することが多く、特に母系に多く見られます。遺伝的に関節の構造や代謝に影響する要素を持っている可能性があります。
3.指をよく使う職業や家事をしている方
ピアノ演奏や編み物、調理など、日常的に手指を酷使する習慣のある方は、関節への負担が蓄積しやすく、発症のきっかけになることがあります。
4.冷え性・血流が悪くなりやすい体質の方
手指の血流が慢性的に悪いと、関節周囲の代謝が低下しやすくなります。これにより、関節軟骨の修復や保護が十分に行われず、関節の変性が進行しやすくなります。特に冬場や冷房の効いた環境で手が冷えやすい方は注意が必要です。
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保存療法(手術をしない治療)
・テーピングや装具での固定
関節にかかる負担を減らし、炎症を鎮める目的で行います。症状の強い時期には、関節を安静に保つことが重要です。
・消炎鎮痛薬の使用(内服薬・外用薬)
痛みが強い場合には、非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)や湿布薬などが処方されることがあります。
・漢方薬やサプリメントの併用
大豆イソフラボン(エクオール)などのサプリメントや体質に合わせた処方(当帰芍薬散、桂枝茯苓丸など)が、痛みや冷えの改善に有効なこともあります。
・注射療法(ステロイドや PRP 注射)
一部の症例では、関節内やその周囲に薬剤を注射し、痛みや炎症を和らげる治療が行われます。