アキレス腱炎・周囲炎
アキレス腱は人体最大の腱であり、腓腹筋やヒラメ筋が折り重なってできています。その役割は、腓腹筋やヒラメ筋の力を踵(かかと)へ伝えることであり、これにより、歩行や跳躍などの運動、つま先立ちなどが可能になっています。
アキレス腱の表層にはパラテノンと呼ばれる腱上膜があり、アキレス腱は血流豊富なパテラノンに包まれています。アキレス腱とパラテノンの間には組織液が含まれており、摩擦を軽減しています。またアキレス腱の奥の方にはKager’ fat padと呼ばれる脂肪組織がありアキレス腱へ血流を供給しています。
アキレス腱炎・周囲炎は、アキレス腱に繰り返し負荷がかかることにより、パラテノンや脂肪組織に炎症が生じ、肥厚したり癒着することで痛みを引き起こします。特徴的な症状としては、運動時、アキレス腱に痛みが生じたり、圧痛があります。状態が悪化すると運動後にも痛みが持続します。
通常アキレス腱は1トンまでの負荷にも耐えうるほどの強靭な腱ですが、
繰り返し負荷がかかることでアキレス腱炎・周囲炎が進行し、微細損傷(アキレス腱炎)を引き起こします。さらに変性が進むと腱の断裂(アキレス腱断裂)に至る場合もあります。
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アキレス腱炎・周囲炎の主な原因
アキレス腱炎・周囲炎は、アキレス腱に繰り返し負荷がかかることが原因で発症します。足首は多くの体重がかかる部位で、走ったり、ジャンプするなどの動作で体をわずかにねじる癖があったり、骨盤が左右にブレたりすることでアキレス腱周囲が過度に引っ張られます。このような動作が繰り返されるとアキレス腱周囲に過剰な負担が生じ、炎症が引き起こされ、結果としてアキレス腱炎・周囲炎を発症します。
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アキレス腱炎・周囲炎になりやすいケース
- 普段あまり運動をされない方が突然運動をした時
- 普段から運動をされている方でも限界以上の運動負荷をかけ続けた時
- 体の使い方に癖のある方
- 扁平足(へんぺいそく)の方
- 底のすり減った靴などを履いている方
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診断・ご自身がアキレス腱炎・周囲炎かどうかの目安
アキレス腱の炎症(圧痛や腫れ、熱感等)を確認し、足首を動かして圧痛の場所が移動するか確認します。痛みの場所が移動するとアキレス腱炎、移動しなければアキレス腱炎・周囲炎が疑われます。
※画像所見
当院ではまず超音波エコーでアキレス腱の状態を確認していきます。アキレス腱周囲の肥厚や炎症が有無、アキレス腱の線維に微細な損傷がないかなどを調べ診断してきます。場合によってはMRI撮影を行い、アキレス腱およびその周囲の信号変化を確認します。