体外衝撃波疼痛治療装置『DUOLITH®SD1(デュオリスSD1)』
Dr.KAKUKOスポーツクリニックでは、2018年12月より、体外衝撃波疼痛治療装置「DUOLITH®SD1(デュオリスSD1)」を導入しています。
体外衝撃波疼痛治療装置は、難治性の”足底腱膜炎”では保険適用にもなる、厚生労働省の承認・許可がおりて販売された”新医療機”です。衝撃波を患部(足底腱膜炎・テニス肘・ゴルフ肘・ジャンパー膝など多くの疼痛性疾患)に照射することで除痛効果が期待できる、整形外科領域では新しい治療法になります。
この治療法は、体操男子の内村航平選手が、世界選手権直前に、右足前距腓(ぜんきょひ)じん帯損傷を短期間で治療するために取り入れたことでも知られています。
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衝撃波とは?
衝撃波とは、気体、個体、液体の中で、音速を超えた時に発生する圧力の波(音波の一種)で、自然界では火山の噴火、隕石の落下、雷などによって起こります。急激に最大圧力まで立ち上がり、その後わずかのあいだ陰圧(内部の圧力が外部より低い状態)が生じます。大きな力を瞬間的に与えることができるのが特徴です。
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体外衝撃波治療法とは?
衝撃波は、音波の屈折や反射する境目で、エネルギーを放出するという特徴があります。体外衝撃波療法(体外衝撃波疼痛装置)は、本体内に水を蓄えており、水の中で衝撃波を発生させ、体内に照射します。その際、水分を多く含む筋肉と脂肪は通過し、硬い腱付着部、腱の変性部分、骨に当たると、衝撃波が屈折・反射しエネルギーが放出されるため、体内深くにある患部のみピンポイントに当てることが可能になる治療法です。
この体外衝撃波治療法ですが、元々は腎臓や尿管など体内にできた結石に照射することで、切開などの外科手術をおこなわずに結石を破砕できる治療方法として主に利用されてきました。
ヨーロッパでは近年、この体外衝撃波治療を、低出力の衝撃波として利用することで、足底腱膜炎・テニス肘・ゴルフ肘など多くの疼痛性疾患の除痛を目的とした治療に応用するようになった、整形外科領域では新しい治療法になります。
欧米でも、スポーツ選手を中心に、患者様の体に低負担で、安全かつ有効な治療法として広まっています。
日本でも、2013年4月に、難治性の”足底腱膜炎”に対する保険適応が認められています。ドーピングに当たらないため、スポーツ選手のテニス肘・ジャンパー膝などに対し、国内でも自費診療・保険診療の両方で治療実績があります。 -
なぜ、体外衝撃波治療で疼痛が軽減されられるのか?
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<短期的な除痛効果>
1.疼痛を誘発している神経の終末部を変性・破壊するため
2.疼痛伝達物質(SubtanceP・CGRP)を減少させる効果があるため -
<長期的な除痛・組織修復作用>
1.血流を改善(照射によりeNOS,VEGF,PCNAの生産による血管新生)する効果があるため
2.疼痛伝達物質(照射後のCollagen産生の亢進による腱の再生・照射によるTGF-β、IGFの産生亢進による腱の再生)を減少させる効果があるため
※一般的に2~3回の繰り返し治療で効果が確認されています。
※体外衝撃波による治療は完全なる除痛を保証するものではありません。また、患者様により治療効果や治療期間が異なります。
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対象疾患
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<保険診療の対象になるもの>
難治性の足底腱膜炎
※主に6ケ月以上の保存療法(内服薬、湿布、インソール等)の治療を行っても痛みが改善しない方 -
<保険診療の対象にならないもの(自由診療)>
国際整形外科体外衝撃波学会(ISMST)では、下記の疾患が対象とされています。
- 足部:足底腱膜炎、アキレス腱炎、アキレス腱付着部炎
- 膝:膝蓋腱炎(ジャンパー膝)
- 肘:上腕骨外上顆炎(テニス肘、ゴルフ肘)
- 肩:石灰沈着性腱板炎(石灰性腱炎)、腱板炎
- 骨折:偽関節、疲労骨折
- その他:早期の離断性骨軟骨炎、早期の骨壊死
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疾患別治療効果(目安)
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<衝撃波照射が有効な疾患>
1.足底筋膜炎・アキレス腱付着部炎
2.テニス肘
3.ジャンパー膝
4.石灰沈着性腱板炎(※治療自体がとても痛い)
週1回、2か月~4か月程度で疼痛が半減することが期待できると言われています。 -
<衝撃波照射が有効な疾患>
1.筋筋膜性腰痛
2.頚椎症性神経根症・頚肩腕症候群
1回で3~5日程度疼痛を軽減させられることが期待できると言われています。
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治療の特徴
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- 1回の治療時間は約10分ほどです。
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一定期間をおき、複数回の治療を行うことで効果が期待できます。
※一般的にインターバルは1〜2週間取ると良いと言われています。
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治療中は痛みを伴います。我慢できる範囲で出力を上げて行きます。
※低レベルでの照射に耐えられない方は、途中で治療を中断する場合があります。
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治療中は痛みを伴います。我慢できる範囲で出力を上げて行きます。
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- 麻酔などは不要です。
- 傷跡は残りません。
- 治療後には治療前と同様にすぐに歩行が可能です。
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一般的に照射後にスポーツを行うことも可能です。
※ただし、より組織修復効果を高める上で、運動の制限を設けていただいた方が治りは早くなります。そのため、下記症状の一般的な運動制限・インターバルをお伝えいたします。
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- 肩の治療後:4~6週間オーバーヘッドの動きは避ける。
- 上腕骨外側上顆炎:テニス等患部に負担のかかる練習を2,3週控える、主婦の方も過度な負担は避ける。
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足底腱膜炎、アキレス腱炎:4~6週はジャンプを含む激しい動きを控える。
上記は一例ですが、激しい運動に関しましては、患者様の患部の状態を見極め、悪化する可能性がある事をご理解頂いた上、医師に相談・判断されることをお勧めします。また、一般的に衝撃波治療後は、直後に除痛効果が働きますので、可能であれば、一週間は空けて頂き、除痛効果が落ちついたところでご判断頂くのが良いでしょう。
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安全性
副作用の事例はほとんど報告されていません。米国の治療データでは、治療時の痛み・不快感、治療後の痛み、腫張などの既知の有害作用が確認されたのみで、皮膚発赤、照射皮膚面の痣形成、血腫、点状出血、瘢痕形成などの重篤な副作用は出ておりません。まれに皮下出血、発赤などありますが、いずれも一時的と言われています。比較的安全な治療法として国内外で実施されています
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Dr.KAKUKOスポーツクリニックでは、最新機種※「DUOLITH®SD1(デュオリスSD1)」を導入しています。
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当クリニックに導入している「DUOLITH®SD1(デュオリスSD1)」は、関東圏内で2台※しか導入されていない最新型「体外衝撃波疼痛治療装置」になります。
※2018年12月時点
「体外衝撃波疼痛治療装置」は、2015年2月に厚生労働省の薬事承認を取得した“新医療機”です。また、2015年4月には、体外衝撃波疼痛治療(足底腱膜炎)で保険適用されています。 -
<収束型と拡散型の違い>
体外衝撃波疼痛装置には、収束型と拡散型があります。
Dr.KAKUKOスポーツクリニックでは、収束型の体外衝撃波疼痛装置を導入しています。
収束型は、収束した範囲にエネルギーを与えるため、治療範囲はピンポイントになりますが、患部のみに対して、エネルギー強度を高く照射することが可能(治療効果が高い)なのが特徴です。例えば、腱付着部炎では、拡散型も有効ですが、収束型の方がエネルギー強度を10倍以上強くすることができ、より治療効果を高めることが可能です。また、エコーで病変部を正確にターゲッティングして治療できるという長所もあります。
一方、拡散型は、一度に広い範囲に治療が可能です。拡散型は、収束型と違い、皮膚表面からエネルギーが放出され、筋肉や脂肪にも圧力が掛かります。そのため、筋・筋膜疼痛症候群やタイトネスの改善等、筋・筋膜の施術により有効的なのが特徴です。
海外では、付着部炎の炎症・変性部位に対して収束型を使用、拡散型で周辺の筋肉をほぐす、という様な使い分けをされているところもあるようです。
※推奨症例
ISMST(国際衝撃波治療学会)推奨症例より -
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収束型
腱付着部症、偽関節・疲労骨折、石灰沈着物質、深いトリガーポイント -
拡散型
腱付着部症、筋タイトネスの改善、肉離れ(瘢痕組織)、トリガーポイント、幅広いエリアの治療(腱付着部炎含む)
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収束型
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<前機種との違い>
1.衝撃波治療は、患部(炎症・変性部位)に、正確に適切な強度で照射する事が重要な治療になります。 前機種は、手元から離れた本体のタッチパネルで操作が必要でしたが、新機種は、手元のハンドピースに操作ボタンと液晶画面が内蔵され、患部から目線を離さず、患者様の反応を確認しながら治療する事が可能となりました。そのため、前機種よりも、正確に適切な強度で照射することが可能な操作性に進化しています。
2.新機種は10インチタブレットが追加され、ハンドピースと合わせて操作が可能であり、詳細な治療の記録、患者様データの管理も可能となり、患者様への説明などでも活用できるため、サービス面でも向上しています。 -
<他社製品との違い>
1.コンパクトで照射位置や方向をフレキシブルに変更できるようになっています。
2.照射エネルギーの強弱に関して、微弱な数値の設定も可能なため、初めて衝撃波治療を受ける方や治療時の痛みに弱い方、患部の痛みが強い方にも安心して治療を受けていただける装置です。
3.衝撃波治療は、一般的に非常に大きな照射音を発する装置ですが、他製品と比べて照射音が小さく、患者様の治療に対する恐怖心なども抑えられるようになっています。
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体外衝撃波治療をご希望の方へ
- リハビリ等で通院中の方は、理学療法士又は医師にご相談下さい。
- 診察で当院へいらっしゃる方は、医師の診察を受けて頂き、治療が適応になるか判断させていただきます。
その他の治療との比較
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「PRP療法」と「体外衝撃波治療法」の違いは?
近年、テニス肘、ゴルフ肘、ジャンパー膝などの治療として、「体外衝撃波治療法」と共に「PRP療法」も効果的な治療法として知られています。
ある研究発表では、ジャンパー膝の12ヶ月のフォローアップの成績だとPRP療法(多血小板血漿注入療法)の方が治療成績が良く、より組織再生が働いているとの研究発表があります。一方で、早期疼痛軽減、競技復帰にはESWT(体外衝撃波疼痛治療)がより効果的とされています。
治療方針として多いのが、シーズン中はESWT(体外衝撃波疼痛治療)、シーズンオフにPRP(多血小板血漿注入療法)か手術を選択するという方針です。ESWT(体外衝撃波疼痛治療)は直後に除痛作用が働くこともあり、早期の疼痛軽減が働き、競技復帰に向け活用し易いのが特徴になります。注射がなく侵襲性が低いことも患者様にとって、抵抗なく受けやすい治療法という事が利点ではないでしょうか。他の部位でも、成績に差はありますが、双方の利点は同じと考えていいでしょう。<PRP(多血小板血漿注入療法) - ESWT(体外衝撃波疼痛治療)比較表>
PRP ESWT 組織再生 ◎ ◎ 早期疼痛軽減 △ ◎ ダウンタイム 3〜4日 なし 消炎作用 ○ △ 早期競技復帰 1週間後より可能 当日より可能 向いているタイプ ・炎症が強い
・画像上損傷部位が広い
・鎖骨・肋骨付近のケガ(肺には衝撃波を照射できないため)
・神経に隣接したケガ(内側上顆炎など)
・休養期間が十分に設けられる・痛みをすぐに取りたい
・試合までに休みを取れる時間がない
・鈍痛が一年以上続いている
・注射を試みたが、満足する効果が得られていない
・注射以外の方法で治療したい※:PFC-FCは1回の採血で6cc(2回分)作製するため、お支払金額は¥200,000(税抜)となります。
当クリニックでは、「PRP療法」と「体外衝撃波治療法」との併用も可能です。併用することにより、より治療効果を高められるケースが多くあります。詳細な治療プランは、医師と相談の上、決めていただければと思います。
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PRP療法
<対象>
肘や膝、靭帯損傷・骨折等の治療PRP療法(自己多血小板血漿注入療法)は、患者様ご自身の血液中に含まれる血小板を利用した再生医療であり、血小板の成分だけを高い濃度で抽出し、患部に注射することで、損傷した組織の修復(自然治癒力)が促進され、「早期治癒」や「痛みを軽減」させる効果が期待できる治療法です。
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